初恋の記憶 ―Episode21―



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 積もったばかりの雪に、足跡はまだ数えるほどしか穿たれていなかった。
 白い色は、沁みるほどに眩しく目に映る。

 そして、そこに散った血の飛沫もまた、鮮やかなコントラストを描いていた。

 体をくの字に曲げた少年が、雪に身を委ねるように倒れている。
 その脇の雪面に、まるでえぐり取ったかのようなブレーキ痕が残されていた。

 「…おい、君!大丈夫か!?」

 「何だ?ひょっとしてひき逃げか!?」

 「おい、救急車呼べ救急車!早く!」

 人通りの少ない時間帯と場所ではあったものの、異変に気づいた男性の声を
 きっかけに人だかりができ始める。

 最初に声を上げたその男性は素早く上着を脱ぎ、額から血を流している少年の
 頭の下にそっと挿し入れた。

 「なになに?事故?」

 「ひでえな。」

 「ひき逃げらしいわよ。犯人は大型の駆輪機だってさ。」

 遠巻きにしていた人々が、がやがやと騒ぎ始めた刹那。

 「ちょっと…ちょっと通してッ!!」

 ひときわ大柄な男性の体を苦労して押しのけ、人だかりの中から一人の少女が
 転げるように走り出た。
 どこかに引っ掛かったらしい手提げ袋が勢いよく引っ張られて裂け、買い物と
 おぼしき飲み物のビンがバラバラと散らばり落ちる。

 もつれる足を何とか動かし、少女はなおも倒れたままの少年に駆け寄った。
 手当てしていた男性が、知り合いだろうと察して少し脇へ体を譲る。
 なかば倒れるように少年の傍らにへたり込み、少女は甲高い声で呼びかけた。

 「クルトー!ねえ、ちょっと…やだぁッ!大丈夫!?しっかりしてッ!!」

 「あんまり動かすと危険だ。頭を打ってる。」

 肩に置かれた男性の手を振り解き、少女はなおも目の前の少年にすがりつく。

 「クルトー!ねえお願い!返事してえッ!!」

 「ちょっとどいてくれ!」

 少女とほぼ同じ場所をかき分けて、同じ青い髪を持つ少年が前に出た。
 どうやら兄らしいその少年は、転がったビンをよけながら駆け寄る。

 「おい、落ち着けって!!」

 「嫌あッ!!ねえ、クルトー!!しっかりして!!」

 取り乱す少女の体を抱え込み、少年は何とか後ろへ下がらせた。
 人だかりの喧騒も、その様子を目の当たりにして次第に静かになる。
 それに呼応するかのように、雪を砕きながら近付いてくる車の駆動音が
 皆の耳に届いた。

 「お、救急車だ!やっと来たか!!」

 後ろの方にいた老人の言葉に、何人かがパッと振り返った。

 「おおーい、こっちこっち!!」

 「早くー!」

 大声で手招きする数人の男性に誘導され、雪面仕様の救急車がゆっくりと
 現場に到着する。

 さっきまで、静寂に満ちていた通りの片隅。
 大勢に踏み荒らされ、喧騒に包まれたその場所に、もはや雪の白さはいかなる
 平穏ももたらしはしなかった。


 まして、取り乱すペルセとカポーゾの目には映りもしなかった。

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 2時間後。

 「付き添いの方、どうぞ。」

 ドアを少しだけ開けて顔を覗かせた看護師の声に、廊下の椅子に掛けていた
 ペルセとカポーゾが立ち上がる。
 少し目を赤く腫らしてはいるものの、ペルセは落ち着きを取り戻していた。

 促されるままに入った診察室は、古びてはいるが清潔な匂いに満ちている。
 白いひげをたくわえた初老の医師が、笑みを浮かべて2人に席を勧めた。

 「ま、お座んなさい。」

 「あの先生…クルトーは…」

 座る間ももどかしげに問いかけるペルセに、医師は笑顔のまま答える。

 「ああ、大丈夫だよ。ちょっと出血は多かったが、損傷そのものは外的なもの
  だけだったから。ケガによる体の後遺症は残らないと思うよ。…もっとも、
  小さな傷跡が残るのはやむを得んがね。」

 「よかった…。」

 ホッと息をついたペルセは、あやうく椅子から滑り落ちそうになった。
 あわてて姿勢を直す妹を横目で見ながら、今度はカポーゾが質問する。

 「それで、あいつは今どんな具合ですか?」

 「ああ、よく眠ってるよ。まあ、まずは麻酔が切れるのを待とう。…意識が
  戻ってからの事は、その後で考えればいいから。」

 「その後で……って?」

 言葉を濁した医師の表情に何かを感じ、ペルセは再び座り直して問い掛けた。

 「後にならないと分からない問題でもあるんですか。」

 「あるかも知れんし、ないかも知れんということだよ。だから後で、だ。」

 「だけど…!」

 また取り乱しそうになるペルセの肩を、カポーゾは少し乱暴に押さえた。

 「やめろ。いま先生を問い詰めてもどうにもならねえだろ。」

 「……。」

 興奮した自分を恥じたらしいペルセは、うつむいて椅子の上で縮こまる。

 「…すみません……。」

 「なあに、いいんだよ。心配なのはよく分かるからね。けど、今は待とう。」

 穏やかな口調で説明する医師の笑顔に、ペルセもようやく笑みを返した。

 「じゃあ、待合室か休憩所で待ってなさい。彼はもう病室に移して看護師が
  看ているから。意識が戻ったらすぐに教えるからね。」

 「わかりました。どうもありがとう先生。」

 不敵な顔立ちに似合わない丁寧な礼を述べ、カポーゾが立ち上がる。
 それを見た傍らのペルセもまた、あわてて腰を浮かせた。
 ずっと書きものをしていた入り口近くの席の看護師が、2人に合わせるように
 そっと立ち上がってドアに歩み寄る。

 「じゃあ、こっちへ。」

 「はい。」


 促されるまま、2人は医師に頭を下げると診察室を後にした。

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 さらに、1時間ほどが経過した頃。

 待合室の片隅にぽつんと座っていたペルセのもとに、カポーゾが戻ってきた。
 そちらに目を向けたペルセは、立ち上がって問いかける。

 「どうだった?」

 「やっぱ無理だな。講演旅行の日程は動かせないから、明日とかあさってに
  戻ることは出来ないらしい。おじさんもおばさんも心配してた。」

 「じゃあ、おじさんたちはいつ頃…?」

 「早くても4〜5日後だとよ。ま、命に別状はないって言ったからだけど。」

 そう言って、カポーゾはペルセの対面にある椅子にどっかと腰を下ろした。

 「…しばらくは、オレたちがあいつの看病をしてやらねえとな。」

 「そうだね。……こんなの、何年ぶりかなあ。」

 低い声でつぶやいたペルセが、そっと腰を下ろそうとした刹那。
 待合室の入り口に先ほどの看護師が歩み寄り、低い声で2人に告げた。

 「クルトー君の意識が戻りました。少しだけならお話しできますよ。」

 「え、ホント!?」

 中途半端な姿勢で止まったペルセは、そのまま早足で入り口に向かう。
 置いてけぼりを喰ったカポーゾもまた、弾みをつけて立ち上がった。


 病室は、看護師の詰所を挟んでぐるっと回った場所にある。
 そこまでの廊下の道のりが、2人にはやたらに長く感じられた。

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 少し傾いた陽射しが、白いシーツを淡く光らせていた。

 待合室の人口灯に慣れていた2人の目に、その白がまぶしく沁みる。
 ベッドの上で上体を起こしたクルトーは、窓の外に視線を向けていた。
 頭に巻かれた包帯と頬の大きな膏薬が痛々しいものの、その横顔に苦痛の色は
 浮かんでいないように見える。

 足音を立てないように歩み寄ったペルセは、ベッドの脇まで来ると遠慮がちに
 声をかけた。

 「おはようクルトー。…ね、大丈夫?痛くない?」

 聞こえたのか聞こえていないのか、クルトーはしばらく反応を示さなかった。
 やがて、たった今相手の存在に気づいたとでも言うようにゆっくり振り返る。

 「……?……ペルセ…ちゃん?……え?誰…?」

 怪訝そうなひと言に、ペルセは身を固くした。

 「ちゃん」付けで呼ばれたことなど、もう何年も憶えがない。
 戸惑いの表情を浮かべたクルトーの様子は、明らかにおかしかった。

 「おいクルトー?どうした、大丈夫か!?」

 質問を妹に任せていたカポーゾの目にも、そのやり取りは異常だった。
 つかつかと歩み寄るその姿を見たクルトーの表情に、パッと生気が戻る。

 「あ、ウィニペグ!来てくれたの!?」

 その言葉は、今度は2人を同時に凍りつかせた。

 言うなと強要しているわけではないが、長兄の名は言わば身内の中でひとつの
 タブーとなっている。
 まして、望む望まないに関わらずそっくりに成長したカポーゾの前では、皆が
 それなりに気をつけていた。
 他の誰よりも分かっているはずのクルトーの言葉だけに、カポーゾとペルセは
 余計に混乱した。

 「…お、おい。なに言ってんだよ。オレは…」

 「どうしたんだよウィニペグ。…っていうか、僕の方こそどうしたんだろ?
  何かヘマでもしたの?ブランカとスノーウィは?」

 まくしたてる内容の不可解さに、カポーゾは返答に窮する。
 クルトーは、完全に自分をウィニペグだと思い込んでいるらしい。
 そして、傍らで青くなっているペルセの姿は目にも映っていない様子だった。

 不意に、ペルセは無言で立ち上がった。そのまま、踵を返して病室を出る。
 曖昧な答えを返していたカポーゾもまた、興奮気味のクルトーを落ち着かせて
 外へ出ようとする。

 「…とにかく心配すんな。事故っつっても大した事はなかったみてえだから。
   また後で来るから、それまで安静に寝てろ。いいな?」

 「え?……うん。分かった。」

 さらに何か言われる前に、どうにかカポーゾは廊下へと逃れた。
 ドアの脇に据え付けられたベンチに、背を丸めた格好でペルセが座っている。

 泣いてはいなかった。

 「おい。」

 掛けられた言葉にビクッと反応し、ペルセは勢いをつけて立ち上がる。

 「あいつ、一体…」

 「さっきの先生のところへ行こうよ。」

 「え?」

 予想以上にしっかりした声に、カポーゾは思わず訊き返した。

 「何だって?」
  .............
 「意識が戻らないとわからない事って、これだったのね。あたしたちが直接
  話さないと、わからない事。だからちゃんと説明しないと。」

 「ああ…そう。そうだよな。」

 気圧されるように頷いた兄の手を曳き、ペルセは早足で歩き出す。
 さっきまでのうろたえた様子は、もうどこにも見受けられなかった。

 やるべき事がはっきり見えて、逆に腹を据えたか。
 さすがはオレの妹だ。

 つんのめりながら後に続くカポーゾの目に、先を行く妹の小さな丸い背は
 やけに頼もしく映っていた。

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 すでに、日はかなり傾いていた。
 廊下の反対側まで伸びる自分たちの影が、時間の経過を報せている。
 とうの昔に外来診察の定時は過ぎ、待合にはほとんど人影はなかった。
 その静寂の中を、先ほどの看護師がペタペタと靴を鳴らしながら歩いて来る。

 待合の中央の大きな長椅子に並んで座り、カポーゾとペルセはうつらうつらと
 舟を漕いでいた。

 「もしもし、ログナさん。」

 軽く肩を揺すられ、カポーゾがハッと目を覚ます。
 一瞬遅れたものの、ペルセも同じように勢いよく顔を上げた。

 「検査が終わりました。先生が説明をするそうなので、どうぞ診察室へ。」

 「あ、ハイ!」

 あわてて立ち上がったせいで、2人は軽い立ちくらみに襲われた。
 それでも、看護師の後に続いて再び診察室へと足を踏み入れる。

 すでに病室へ移された後らしく、クルトーの姿はなかった。
 相変わらず笑顔ではあるものの、医師の表情にはどこか冴えがなかった。

 「ま、お座んなさい。」

 言われるまま席につく2人に、看護師がパック入りのジュースを差し出す。

 「待ってるのも疲れたでしょう?どうぞ。」

 「ありがとうございます。」

 丁寧に例を述べた2人の目の前で、医師もまたジュースで喉を潤した。
 もしかしたら、長い話になるのかも知れない。
 その思いをそれぞれの胸に抱いた2人は、ゆっくりとパックの包みを解く。


 診察室の壁は、夕陽に黄色く染め上げられていた。

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 「記憶の…混濁?」

 片眉を吊り上げたカポーゾの声は、不自然なまでに高くなった。

 「記憶喪失じゃないんですか?」

 「ああ、違う。どっちかといえば、その逆なんだよ。」

 そう言った医師の目が、机の上の診察記録に向けられる。

 「数年前の、彼の診察結果を取り寄せて検証してみたんだがね。これによると
  彼…クルトー君は、以前に部分的な記憶障害を起こしている…とあるんだ。
  知っているかい?」

 「え?ええ。それはもちろん、はっきり憶えてます。」

 そう答えたのはペルセだった。

 忘れるはずもない。

 いちばん上の兄ウィニペグが失踪して、半年ほど経った頃だった。
 前の日までは特に変わった様子もなかったクルトーの記憶から、大きな何かが
 すっぽりと抜け落ちていた。
 部分的にとはいえ、あれほど慕っていた兄の事まで記憶が曖昧になっていた。
 本人よりも両親や家族、それに自分たちの方がショックを受けたのを今でも
 はっきりと憶えている。
 何ヶ月もかけて治療が続けられ、精神的な不安定さはなくなった。
 しかし、とうとう失われた記憶は戻らなかった。

 「それじゃあ、もしかしてその頃の記憶が?」

 「察しがいいね。その通り。」

 答えた医師は、視線をペルセに向けた。

 「記憶喪失というのは記憶が消えてしまうのでなく、思い出せなくなる症状を
  指すんだ。彼も例外ではない。そして事故のショックで、失っていたはずの
  記憶の存在に彼の心が気づいた…という事らしいな。」

 「じゃあ、あいつはあの頃の事を思い出したってんですか?」

 勢い込んだカポーゾの口調は、やや粗暴になる。
 しかし目の前の医師は、難しい表情を浮かべて首を振った。

 「残念ながら、少し違う。」

 「どう違うってんですか。」

 「思い出せたのは、ほんの断片的な記憶だけらしいんだよ。ついさっき色々と
  問診してみて分かったが、今の彼は明らかに過去と現在を混同してしまって
  いる。だから、現在の君たちを正確に認識する事ができないらしい。」

 「だ、だけど…」

 2人の顔を見比べたペルセが、すがるような目で訴える。

 「カポーゾの事は分かったよ?大兄ちゃんだと思って、あんな嬉しそうに…」
  .........
 「それが問題なんだよ。」

 手を上げて遮り、医師は少し口調を強めた。

 「立ち入って申し訳ないが、君は…そのう、行方不明になったお兄さんに顔が
  そっくりなんだそうだね。その君をお兄さん本人だと思い込み、それに一番
  強く反応するという事は…」

 「…あいつの心は、失った過去の方に向いてるって訳ですか?」

 「そうだ。」

 固い表情のカポーゾに頷いた医師の声は、やはり厳しい響きを帯びる。

 「現在を嫌っているわけでは決してない。だが彼の心は、抜けた記憶の存在に
  気づいてしまったんだ。だからこそ、必死でそれを取り戻そうとしている。
  ある意味、完全に忘れているよりもずっとつらい状況だ。」

 「…それで、あいつはどうなるんです?」

 「何とも言えないな、今は。」

 そっと首を振って背を丸め、医師は小さなため息をついた。

 「事故のショックそのものも残っている。まずは落ち着くのを待つ事だね。
  大事なのは本人よりも周囲の人たちがあせらない事だ。いいね?」

 「分かりました。どうも、ありがとうございます…。」

 少し目を伏せながら礼を述べ、カポーゾはゆっくりと立ち上がる。
 うつむいていたペルセもまた、診察室を出て行く兄の後に続いた。

 黙って2人の背を見送った医師は、診察記録の束をそっとめくる。
 前任者の所見に気になる記述があったのが、今日の検査で確信に変わった。
 しかしそれは、2人に面と向かって言える事柄ではない。
  .................
 『人為的な、記憶操作の措置が行われた可能性あり。』

 こんな事は、口が裂けても言えない。
 言えばどれほど心配するかが、想像できるだけに。
 診察記録をファイルに戻した医師の目が、窓の下に向けられる。正面入口から
 肩を並べて出て行くカポーゾとペルセの影が、長く伸びているのが見えた。
 その歩いていく先にもうひとつ、影がじっと待っているのが分かる。

 それが何なのかは、夕陽のコントラストの中で知る事はできなかった。

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 「…よう、ウェザース。」

 正面の門のところまで来たカポーゾが、植え込みの脇に座っている牙犬に
 気づいて歩み寄る。それは、まぎれもなく愛犬のウェザースだった。

 「待っててくれたのか?悪いな、心配かけて。」

 そう言ってウェザースの頭を軽く撫で、カポーゾは少し遅れて歩くペルセに
 向き直る。

 「おおい、早く行こうぜ。今へこんだって、何の解決にもならねえからな。
  とりあえず無事は無事だったんだ。よしとしようぜ。」

 「うん…。」

 肩を並べて歩く兄妹の少し後を、ウェザースが足音もなく追う。
 2人と1匹の影は、溶け残った雪の上に長く伸びていった。


 ―ねえ、カポーゾ。

 ―何だよ。

 ―クルトーは、失った過去の中に生きようとしてるんだよね。

 ―その言い方が正しいかどうかは、よく分からねえけどな。

 ―それってさ。
  やっぱり、今よりもその頃の方が良かったってことなのかな。
  だから、いっしょうけんめい思い出そうと…

 ―そうじゃねえって先生が言ってたろうが。ちゃんと聞けよ。
  どっちが良いとか、悪いとかってんじゃねえ。
  今のあいつが苦しんでるのは、全部を思い出せないからだ。

 ―だけど、それじゃあどうすればいいの?あたしたちは。
  あたしのことは、まともに認識できない。
  カポーゾのことは、大兄ちゃんだと思い込んじゃってる。

 ―確かに、そうみてえだな。
  あの分じゃあ、おじさんやおばさんに会っても大差ないかも知れねえ。

 ―やっぱり、そう思うよね。

 ―今のオレたちに、できる事って言ってもなあ…。


 「それなんだけどね。」

 不意に語調を強めたペルセは、その場にぴたりと立ち止まった。
 訝しげな表情を浮かべて同じく立ち止まったカポーゾの腰に、ウェザースが
 あやうく鼻面をぶつけそうになる。

 「何だ?」

 「あれだけはっきりと反応するんだから、そのまま調子を合わせちゃえば?」

 「あ?どういう意味だよ。」

 ますます不審げな表情を強める兄に、ペルセは半歩ほど歩み寄った。
 その目が、すぐ目の前にある顔をじっと見据える。
                  .....
 「…だから、カポーゾが大兄ちゃんになり切ってクルトーに話を合わせるの。
  そうすればクルトーも、それを手がかりにしてきっと昔の記憶を…」

 「無茶なこと言ってんじゃねえよ。」

 皆まで言わせず、カポーゾはやや乱暴な口調で妹の言葉を遮った。

 「似てるってのは認めるが、オレは兄貴じゃねえんだよ。中途半端に調子を
  合わせたとしても、ボロが出たら余計に混乱させるだけだ。」

 言い捨ててさっさと歩き出すその背を、ペルセとウェザースがあわてて追う。

 「怒ったの?…怒ったんならゴメン。」

 「いいや。怒ってねえよ。」

 そう言いながら、カポーゾはようやく早足を緩めた。

 「…そういやあいつ、さっき兄貴の他に誰かの名前を2人ほど口にしてたな。
  何だったっけ?」

 「憶えてない。突然だったから。」

 「だよなあ。」

 返答に、ため息が混じる。

 「もしもそいつが見舞いにでも来てくれりゃあ、何とかなるかも知れねえって
  思ったんだがな。…まあ、無いものねだりか。」

 「たぶん、ね。」

 言葉を曖昧に濁し、ペルセは少し顔を伏せて黙り込んだ。


 「憶えてない」は、半分は嘘だった。

 クルトーが長兄の名と共に口にした「ブランカ」のひと言は、耳にはっきりと
 残っている。
 あの氷の夜、リアグに出会っていなければ、聞き流したかも知れない名前。

 長兄とブランカ・ゾナ・ホーをつなぐ接点は、ひとつしかない。
 疑ったことが、これまでに一度もないわけでもない。

 クルトーが、あのパーマン3号だったということを。
 今日、彼自身の言葉で確信が生まれたような気がする。

 うつむいて歩くペルセは、いつしか下唇を強く噛みしめていた。

 別に、責める気も問いただす気もない。
 クルトーがパーマンだったというのなら、それでいい。今になって、あれこれ
 詮索しようとも思わない。
 長兄の居場所を知ってるなら教えて欲しいが、知らないならそれで構わない。

 すべて、過去の事なのだから。

 望む事はただひとつ。  .....
 一刻も早く元気になって、現在の自分を取り戻して欲しい。

 本当に、ただそれだけだった。


 夜の帳が、静かに下りた寂しい道。
 3つの影は、言葉もなくただゆっくりと家路を辿っていた。

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 事故から、3日が過ぎようとしていた。

 ショックの収まったクルトーは食欲も戻り、傷の回復経過は順調だった。
 しかし、記憶の混濁は相変わらず深刻な状態にある。
 下手にカポーゾやペルセが顔を出すと、言う事が支離滅裂になってしまう。
 刺激を与えないようにするため、身の回りの世話は看護師が行っていた。

 会えないながらも、ペルセは日に2度、3度と病院に通った。
 そして病室の前で容体を聞き、そのまま帰ってくる。
 病院へ行く時には、必ずウェザースが一緒に行った。

 黙って見送るカポーゾの目に、その姿はボディガードのようにも見えた。

 そうして迎えた、4日目。
 その日は午後から、事故の日以来となる雪が降っていた。

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 「それじゃあ、もうすぐ消灯ですよ。お変わりはない?」

 「大丈夫です。」

 「明日は、ご両親が戻られるそうね。」

 「待ちくたびれましたよ。」

 少し大げさに肩をすくめ、クルトーは小さな笑みを浮かべた。

 「まあ僕はこの通り元気だし、忙しい親だから無理もないけど。」

 「そうね。じゃあ、今夜は早めにおやすみなさいね。」

 「そうします。」

 笑みを返した看護師に頷き、クルトーはそっとベッドに上体を横たえた。
 窓の外に目を向ければ、雪が夕方よりも勢いを増しているのが分かる。
 今夜は、積もりそうだった。

 ほどなく、室内灯のスイッチを切った看護師は静かに個室を後にした。
 部屋が暗くなったことで、雪の白さがよけいに際立って見える。


 そのキラキラとした細かい反射が、記憶の断片にかすかに呼びかけた。


 かつて、一緒に大空を飛びながら見ていた、眩しい銀色の長髪。
 無口だったけど、優しい瞳がいつも安心をくれた。

 そうだ。

 生まれて初めて、本気で好きになった女性だった。

 なぜか、はっきりと全てを思い出せないのがもどかしい。
 だけど、会いさえすれば何もかも取り戻せるような気がしている。


 スノーウィ。

 どうして、来てくれないのかなあ。
 ひょっとして、僕が入院してるってこと、知らないのかなあ。

 ウィニペグもブランカも、何で顔を出してくれないのかなあ。
 小言を言うのでもいい。ライジェックでもいいから、来てくれないかなあ。

 もしかして、みんな僕のことを忘れちゃったのかな。
 それとも、僕のことを嫌いになっちゃったのかな。

 会いたいなあ、みんなに。


 自分でも気付かないうちに、クルトーは涙を流していた。
 暗い病室のベッドの上は、そこだけが世界からぽつんと切り離された小さな
 孤島のように思える。

 いつも一緒だったはずのみんなが、誰もいない。
 そして、思い出さえもほとんど心に浮かんできてくれない。

 あるのはただ、取り残されたという孤独だけだった。


 窓の外の景色が、白い闇の向こうにかすむ頃。
 クルトーは、涙に濡れた顔のまま、冷たい眠りへと沈み込んでいった。

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 廊下からの物音も、ほぼ絶えた夜更け。

 「おい。」

 寝入っていたクルトーの頬を、誰かの掌が軽く叩いた。
 ウンとひと声唸ったクルトーは、もぞもぞと体の向きを変える。

 「起きろクルトー。」

 少し低い声は、まるで稲妻のように耳を貫いた。
 一気に意識を引き戻されたクルトーは、ハッと目を見開いて首を回す。
 雪明かりに淡く浮かぶ部屋の暗さに、目が慣れるのに少しかかった。
 やがて、自分を見下ろしている人影が、ハッキリと見えてくる。

 ちょっと吊り目気味の優しい双眸が、じっと自分の顔を見つめていた。

 「よう。目は覚めたか?」

 「……ウ、ウィニペグ…なの…?」

 「ああ。オレだよ。」

 口もとを歪める笑い方は、見間違えようがなかった。
 見開いたクルトーの大きな目に、たちまち涙がにじむ。

 「来て…くれたの?」

 「そうよ。遅くなってゴメンね。」

 その声は、ウィニペグのすぐ背後から聞こえた。
 視線を向けると同時に、ひょいともうひとつの人影が姿を現す。
 勝ち気な笑みが、涙のあふれる視界にぼやけて映る。

 「ブランカも…戻ってきてくれたんだね?」

 「ああ。悪いな、長いこと独りにしちまってよ。」

 少しばつの悪そうな笑みを浮かべ、ウィニペグはクルトーの頭を撫でた。
 横になったまま毛布から手を出し、クルトーはその掌を相手の手に重ねる。
 懐かしい感触が肌から伝わり、あらたな涙が流れた。

 「帰ってきてくれたんだよね?…もう、どこへも行かないよね?」

 びっしょりと頬を濡らしながら、クルトーはもう一方の手を傍らのブランカに
 そっと差し出す。
 優しげな笑みを浮かべたブランカは、手を差し伸べて細い指を絡ませた。

 返答は、どちらからもなかった。
 2人はただ、じっと黙って笑っていた。

 「……?」

 その沈黙に、クルトーは訝しげに眉をひそめる。
 何かが違っていた。
 そして、何かが抜け落ちているような気がした。

 「…どうしたの2人とも?なんで返事してくれ……」

 そこまで言ったクルトーが、何かに思い当たったかのように語調を強める。

 「ねえ、スノーウィは?スノーウィは来てないの?どこにいるの!?」

 言いながら、クルトーは取り乱しそうになった。
 両の手を2人に預けたまま、もぞもぞと無理やり上体を起こそうとする。

 と、その刹那。

 不意に、柔らかい手が肩に添えられる感触が走った。
 その手が、力んだクルトーの体をそっとベッドに留める。
 マットに背が触れると同時に、全身から力が抜けるのが分かった。

 「あたしならここよ、クルトー。」

 ウィニペグ達2人とは反対の、ベッドと窓の間あたり。
 そこから、柔らかな声が届く。


 顔を向けなくても、誰なのかはすぐに分かった。

 兄のように慕った、ウィニペグよりも。
 姉のように慕った、ブランカよりも。

 一人の女性として、幼心に憧れた相手だった。

 向き直ろうとした視界に、顔よりも先に揺れる銀髪が映り込む。
 かすかに鼻をくすぐる匂いも、昔と同じだった。

 「遅くなって、ごめんね。」

 首を回して向けた視線の先に、蒼い瞳があった。


 スノーウィは、ベッドの脇の椅子に掛けて懐かしそうに自分を見つめていた。

====================================

 「大丈夫?クルトー。」

 「………う、うん。」

 一瞬、クルトーは息を呑んだ。
 返す言葉に、困惑の響きが混じったのが自分でも分かる。

 目の前にいるのは、まぎれもないスノーウィ・ラッフだった。
 それははっきりと分かる。

 しかし、さっきとは違う違和感があった。
             ..............
 ウィニペグとブランカが、自分の描いたイメージそのままだったのに対し。

 スノーウィは、明らかに何かが違っている。

 蒼い瞳。白い肌と、首に巻かれた雪色の襟巻き。そして銀色の長髪。
 そのどれもに見覚えがあるのに、何かが違う。

 それが何なのかは、やがて分かった。

 スノーウィは、大人の顔立ちになっていた。
 どこかにあどけなさを残していた、記憶の中の顔ではない。
 美しさは変わらないが、そこには昔とは違う憂いが感じられた。

 「…ねえ、スノーウィ…だよね?ホントに君だよね…?」

 泣きそうな声で問いかけるクルトーの額に、真っ白な手がそっと添えられる。
 その感触は、間違えようがなかった。

 いいところを見せようと思って無茶をして。傷を負ってしまった時。
 介抱してくれたスノーウィの手、そのものだった。

 「そうよ。あたしはあたし。…別に、驚く事じゃないのよ。変わったのは、
  あたしだけじゃない。あなただってそうなの。」

 噛んで含めるようなその言葉に、クルトーはハッと手を引っ込める。
 戸惑ったようにぺたぺたと自分の顔を探る手が、やがてぴたりと止まった。

 どうやら、自分自身の現在を悟ったらしい。
 驚愕に見開かれていた目が、ゆっくりと戻っていく。

 「そっか…。時間が、経ったんだね。」

 「ええ。」

 「でも、ウィニペグたちは…」

 言いながら向き直った先に、もう2人の姿はなかった。
 つないでいた手を引っ込めたと同時に、まるで幻のように消えていた。

 「…あれっ!?」

 「2人は、ここにはいないのよ。」

 やけに明瞭なそのひと言に、反射的に顔を戻した瞬間。

 わずかに身を沈めたスノーウィは、クルトーの唇に自分の唇を重ねた。
 そのまま息を止め、そっと目を閉じる。

 時が止まったような静寂の中で、クルトーもまた目を閉じた。
 重ねた唇越しに、柔らかな思念が自分の中に流れ込んでくるのが感じられる。

 ほんのわずかな、永い沈黙ののち。
 身を引いたスノーウィの顔が、ゆっくりとクルトーから離れた。
 そっと開かれた蒼い瞳に、自分自身の顔が並んで映っている。
 その顔に小さな笑みが浮かんでいる事に、クルトーは初めて気づいた。

 笑っていた。

 何も問う必要はなかった。
 その一瞬が、自分の中の大切な記憶を、すべて呼び覚ましてくれていた。
 そして、それ以上のことも。

 おそらくそれは、スノーウィ自身の心のかけらなのだろう。
 内容は、はっきりとは分からない。
 しかし、そこにある気持ちの色、そして伝えたいことは見えた。
 意味するものは、充分すぎるほど伝わった。

 「…ありがとう、スノーウィ。」

 そう言って、クルトーはベッドの上に身を起こした。
 答える代わりに、スノーウィの顔にも笑みが浮かぶ。

 求め合うかのように、2人は互いの背に腕を回して抱き合った。

 柔らかな体を伝わり、もういちど優しい思念がクルトーを包み込む。

 「あなたは、あなたの道を歩いてね。そして、幸せになって。」

 「うん。……スノーウィもね。」

 「愛してる。クルトー。」

 「僕もだよ。」

 言葉を交わし、2人は腕に力を込めた。
 互いの体の感触を、その身に刻もうとするかのように。

 顔にかかる銀髪の感触と、かすかな匂いに包まれ。
 涙を流しながら、クルトーは再び眠りに落ちていった。

 このぬくもりを永遠に記憶に刻もうと、心に誓いながら。


 更けゆく、蒼色の夜の片隅で。

 絆の深さを確かめ合った2人の刻は、静かに終わろうとしていた。

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 翌朝の空は、晴れ渡っていた。

 真っ白に積もった雪を踏みしめながら、ペルセは何とか病院にたどり着く。
 珍しく朝からウェザースが寝入っていたため、カポーゾが同伴していた。
 会わない方がいいのは分かっている。2人とも、看護師から容体だけを聞いて
 そのまま帰るつもりだった。

 入院病棟の入口で靴底の雪を落としていた2人のもとに、何かの書類の束を
 脇に抱えた看護師が歩み寄る。
 診察室で医師の助手をしていた、あの人だった。あれ以来、いろいろと便宜を
 図ってくれるので、すっかり顔なじみになっている。

 「おはよう。」

 「あ、どうもおはようございます。」

 「お見舞い?朝早くからご苦労さま。」

 重そうな書類の束を抱えなおし、看護師は笑みを浮かべた。

 「いえ、会うのはアレなんで…容体を訊きに来ただけなんですけど。」

 「会って確かめれば?」

 思いがけないひと言に、服の雪を払っていたペルセがハッと顔を上げる。

 「え?会って…って?い、いいんですか?」

 「ええ、もちろん。」

 どこか嬉しそうな口調で即答し、看護師は励ますようにもういちど笑った。

 「もう面会時間は始まってるから、どうぞ。」

 そう言いながら廊下の奥を指し示し、看護師は笑顔のまま外来病棟の方へと
 歩き去った。後に残されたカポーゾとペルセは、顔を見合わせる。

 次の瞬間。

 先を争うかのように勢いよく足を踏み出した2人は、派手にすべって同時に
 尻餅をついていた。

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 窓から差し込む朝日と雪の反射で、病室の中は眩しいほどの光に満ちていた。
 ベッドに上で上体を起こしたクルトーは、顔だけを窓の方に向けて外の景色を
 じっと見つめている。
 注意深く入口のドアを開けたペルセは、足音を立てないようにそっと室内へと
 歩を進めた。
 濡れた靴底が床と擦れあい、キュッという甲高い音が響く。
 その小さな音に、クルトーは首を回して目を向けた。同時に、2人の視線が
 まともにぶつかる。

 沈黙は、ほんの一瞬だった。

 「おはようペルセ。それに、カポーゾも。」

 まるで、ちょっと居眠りをしていただけだと言うような、自然な挨拶の言葉。
 それは、3人の距離を埋めてなお余りあるひと言だった。

 返事をする前に、ペルセはクルトーの胸に飛び込んでいた。

 ―まったく、心配させやがって…。

 憎まれ口は、まともに言葉にならなかった。
 泣き笑いを浮かべたカポーゾもまた、弾かれたように2人のもとへ駆け寄る。


 雪解けの滴がポタポタと落ちる音に、3人の歓声がにぎやかに交錯していた。

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 ねえ、スノーウィ。


 あれは、夢?


 いいや。そうじゃないよね。

 はっきりと憶えてる。
 頬を撫でた銀色の髪や、柔らかな唇の感触を。
      ........
 何よりも、大切な事をぜんぶ思い出せた。

 忘れている事さえも忘れていた、楽しい思い出を。

 君が、戻してくれたんだよね。


 ありがとう。

 本当に、ありがとう。

 それに、もうひとつ。

 はっきりとは分からなかったけど、伝わってきた。


 知ってるんだね。

 ウィニペグとブランカが、幸せに暮らしてるってことを。
 心配なんて、何もないんだってことを。


 何度でも言うよ。
 本当に、ありがとうね。

 僕は、僕の道を。
 そして、君は君の道を、か。

 そうだよね。

 たぶん君は、まったく違う道をまっすぐに進んでいるんだろうね。

 あの頃と同じように気高く、そして凛とした眼差しで。


 そんな君は、僕にはあまりにも眩しかった。
 心から、憧れていた。


 だけど、時が経ったんだね。

 お互い、もう姿も見えないくらいに遠く離れた。
 きっと、これからもそうなんだろう。

 歩く道は、遠く離れていくんだろう。

 だけど、もう寂しいなんて言わない。
 孤独だなんて、思わない。


 離れることは、サヨナラとは違うから。

 心の中に、あの頃の4人の姿があれば。
 僕らはいつでも、一緒に飛べる。


 ありがとう。

 元気でね、スノーウィ。


 僕の、初恋のひと。



 仰ぎ見た先に広がる、澄み渡った空。

 クルトーの目にその青空は、彼女の瞳の色のように映っていた。


 初めて恋した、あのひとの瞳の色のように。

================【完】=================

関連エピソード:『託す思いを

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